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インドネシア、土地収用難航など大型インフラ開発の遅れ目立つ

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インドネシアで政府や企業による土地収用が難航し、発電所など大型のインフラ開発が遅れる例が目立っているというニュースです。
民主化が進み、立ち退きを拒む住民が増えていることもあり、Jパワーや伊藤忠商事が共同で計画する40億ドル(3200億円)規模の発電事業は、開始が1年ほど遅れる見通しで、日本人が強硬派の住民に拘束される事件も起きているということです。
事業開始が遅れるのは、Jパワーなどが中部ジャワ州で進める出力200万キロワットの大型石炭火力発電。
土地収用の手続きが終わらないため、発電所の建設資金の調達契約が遅れており、買電契約を結んでいる国営電力会社PLNは2016年の予定だった稼働が1年は遅れると明らかにしており、Jパワーなどの収益や地元の電力需給の見通しにも狂いが生じる見込み。
この事業を巡っては9月末、建設予定地の近くで、別の総合商社の日本人社員らが反対派の住民に約5時間拘束される事件が起き、けが人は無かったが、日本とインドネシアの官民が連携してきた大型プロジェクトで逆風が強まっている。

インドネシアでは1998年、強権体制を敷いてきたスハルト長期政権が崩壊し、民主化が進んだが、結果として、インフラ開発では立ち退きの補償金や環境悪化に不満を抱き、抵抗する地元住民が増えた。
地方分権も進み、地方政府ごとに土地の権利などが異なる例が増え、立ち退きの手続きが複雑化、中央政府が介入しにくい風潮も強く、インフラ整備で最も大きな不確定要因となっている。
ジャカルタ郊外にあるスカルノ・ハッタ国際空港と住宅地を結ぶ6兆ルピア(約500億円)規模の高速道路の建設計画でも、土地収用が問題化、渋滞解消の期待がかかるものの、住民は政府提案の約7倍の補償金を要求するなど、主張を先鋭化させている。
第2の都市スラバヤと工業団地があるモジョケルトを結ぶ約36キロメートルの高速道路も、全線開通が当初予定の13年から14年末以降に遅れる見通しで、9月には住民が政府提案の3倍の補償金を求め、既に開通している区間を封鎖する騒ぎが起きた。

中央政府は8月までに、土地収用を迅速化するための法律を整備したが、すでに交渉中の案件は対象にならない。
インドネシアは14年に大統領・国会選を控えており、当局が住民の不満を買いかねない土地収用を積極的に進めにくい状況にもある。
インドネシアでは11年、外国直接投資の受け入れ額が前年比18%増の175兆3千億ルピアと過去最高を記録し、製造業を中心とする日本企業が投資の主役だった。
ただ、土地収用の問題が一段とこじれれば、進出企業の経営環境は悪化しかねないということです。

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